「紙パック不要の掃除機」の開発で有名な英大手家電メーカー、ダイソンがコードレス掃除機やヘアドライヤーの新製品でアジア市場を開拓し、高成長を続けています。特に、中国での売上高は3.4倍と増加が顕著のようです。 かつての日本メーカーも家電分野では世界を席捲していましたが、家電は成熟分野とみなして大手企業で主力製品としているところはほとんどなくなりました。 成熟分野でありながら、「AIで家電を変える」という明確なビジョンを持って組織の強化を図りながら成長していく姿は、経営学の名著『ビジョナリー・カンパニー2-飛躍の法則』が強調する「卓越した企業になるにはビジョンと進歩を促す経営の仕組みが必要だ」の典型例を見るようです。 ダイソン創業者のジェームズ・ダイソン氏にインタビューした内容が日本経済新聞(2017-2-28付)に出ていましたので、要点を以下に紹介します。
ダイソン氏自身が「電気モーターの開発はありふれたように見えるかもしれない」と語っています。確かに研究開発テーマとしては地味ですが家電の心臓部であり、最大の差別化要因の一つとなると思います。 しかし、このインタビューから感じたことは、かつて日本が家電分野で技術力を誇っていた時の事業企画を見ているようでもあります。 製品の将来展開を見越して要素技術開発などに手間と金がかかっても着手していくのが日本企業の一般的な姿でした。 実は、ダイソンが成功するきっかけを作ったのは、日本での共同製品開発で日本人から丁寧なモノづくりとモノへの深い愛着を学んだことにあると言われています。 家電という成熟分野でも高成長していくダイソンの「ビジョンと進歩を促す経営の仕組み」は、自社の今後の事業展開を考える上で大いに参考になるはずです。 ちなみに、英国では「ダイソンする」ことが、“イノベーション(技術革新)”の代名詞になっていたようです。 『ビジョナリー・カンパニー2-飛躍の法則』ジム・コリンズ(著) |